舌下免疫療法とは

アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を毎日少量ずつ舌の下から体内に吸収させることでアレルゲンに慣れさせ、アレルギー反応を弱めていく治療方法です。従来の抗アレルギー薬の内服治療などと異なり、根本的にアレルギー体質を改善する治療方法として注目を浴びています。
治療効果が出るまでには数ヶ月かかり、治療期間は3〜5年と長くかかりますが、アレルギー症状の完治や緩和に加え、喘息やアトピー性皮膚炎の発症予防効果が期待できます。
対象患者さん
- 5歳以上(当クリニックでは小学生以上)で、アレルギー検査によりスギ花粉症、ダニアレルギーと診断された方
- 以下に該当しない方
- 重度の気管支喘息
- 妊婦(近いうちに妊娠希望)、授乳婦
- β遮断薬服用中
- 悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全など
検査から治療の流れ
- 問診、血液検査などによるアレルギー診断(アレルゲンの特定など)
- 初回投与は院内にて実施(投与後30分は院内にて経過観察します)
- 2日目以降は自宅にて実施
- 2週間後に再受診
- 以後月に1回の定期受診
よくある質問
Q. どの程度、治療効果がありますか?
臨床試験の結果からは、全体の8割程度の方に改善効果が得られ、そのうち1〜2割の方で完治が期待できます。
Q. すぐに効果が現れますか?
少しずつアレルゲンに体を慣らしていくので、効果が感じられるまで3ヶ月程度かかります。その後も徐々に改善が期待でき、2年程度で効果判定を行い、有効であった方は4〜5年間継続していきます。
Q. 費用はどの程度かかりますか?
保険が適応されます。3割負担の方で、スギ花粉症が1ヶ月あたり2,000〜2,500円程度、ダニアレルギーが1ヶ月あたり3,000円〜3,500円程度です。その他必要に応じて検査量やアレルギー治療薬の処方料などが加わります。お子様の場合は、各市町村の助成制度が適用され、当クリニックのある各務原市では中学生以下は無料となります。
Q. 副作用はありますか?
主な副作用は、口内炎・口腔内の痺れ、のどのかゆみや不快感、耳の痒み、頭痛などです。ほとんどの場合で治療を要さない軽症で、1ヶ月以内に治まることが多いです。ごく稀ですが、重症の副作用として、アナフィラキシーショック(じんましん、呼吸困難、血圧低下など)を引き起こすこともあります。このため、初回投与は必ず院内にて行います。
Q. 通常の飲み薬と服用方法は違いますか?
すぐに飲み込まず、舌の下に1分間薬を保持した後に飲み込み、その後5分間はうがい、飲食を控えます。
Q. どんなアレルギーに有効ですか?
スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎の2つに有効です。またハウスダストにはダニの死骸が含まれることから、ハウスダストアレルギーと診断された方にも有効です。
Q. 治療はいつでも始められますか?
ダニに対する治療は、年間通していつでも開始可能です。スギ花粉に対する治療は、飛散時期(概ね1月〜5月)は開始できませんので、花粉の飛散が終わる6月頃から開始になります。
Q. スギ・ダニアレルギーが両方ある場合、同時に治療できますか?
どちらか一方から始め、一定期間(少なくとも1ヶ月以上)様子を見て、もう一方の治療を開始します。その後は、2つの治療を同時に進めることができます。
Q. 5歳の子どもでも出来る治療ですか?
舌の下にお薬を1分間飲み込まずに置いておけることが目安になります。ただし当クリニックでは小学生以上とさせていただいておリます。
Q. どんな薬を使うのですか?
スギ花粉症は「シダキュア」、ダニアレルギーは「ミティキュア」という名前の薬を使います。